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■ Pick UP! News
[日本で話題のキャッシュレス決済、インドではどれくらい進んでいる?]
日本では消費税増税の緩和策としてキャッシュレス決済に対するポイント還元キャンペーンが実施されています。政府はこのキャンペーンを通じて国内でのキャッシュレス決済の利用増加も狙っているようです。日本に昨年導入されたPayPayはインド最大の決済アプリPaytmの技術提供のもと開発されましたが、大本のインドでは実際どれくらいキャッシュレスで生活できるのでしょうか。1日の流れに沿ってご説明します。
朝メトロで通勤する際に、トラベルカード(交通系ICカードのようなもの)にチャージしたい。そんな時は決済アプリからトラベルカードの番号を入力しチャージボタンを押すだけ。朝券売機や窓口に行く必要なくチャージされたカードでメトロに乗ることができます。オフィスでちょっと、チョコレートが食べたい。そんな時もオフィスの自動販売機に記載されているQRコードを読み込んで、アプリで支払いができます。お昼、オフィス近くのフードコートでターリー(定食)を注文、それもアプリから支払い可能。昼食後、薬を買いたくなって、オフィス街の薬局へ。そこでもアプリで支払い。帰り道、今日はモールで買い物のために配車アプリで車を配車、こちらもアプリでの支払いが可能。モールのスーパーでもアプリ。といった形で、財布を持たずにスマホ一つで外出が可能です。
上述のPaytmは、元々は携帯料金と自宅用衛星放送の料金支払い用アプリでした。インド鉄道やUber、映画館のチケットなどアプリ内で支払い・購入できるものが増えていき、今では電気料金の支払いも可能、Paytm mallという自社ECサイトまであります。インドにはPaytmの他、PhonePe、Mobikwik、FreeChargeといった決済アプリ(モバイルウォレット)もあれば、各銀行のモバイルウォレットやAirtelなど通信事業者のモバイルウォレットなど多くの決済アプリが存在します。これら決済アプリの基本の仕組みは、銀行口座を紐づけてアプリ内のウォレットにチャージしておいてその残額から払う、もしくは登録しているクレジットカード・デビットカードで決済する、ここまでは日本のPayPayと同様です。異なる点はインド決済公社(NPCI)が構築したIMPSとUPIというシステムを利用して、銀行口座からの即時決済が可能だという点です。IMPS とはImmediate Payment Serviceの略で24時間いつでも銀行間の送金を可能にしているシステム、UPIとはUnified Payments Interfaceの略で加盟している141の銀行と提携している40のアプリ(2019年10月1日時点、公式サイトより)間で簡単に送金ができる仕組みです。送金や受け取りにはアプリで付与される仮想IDや登録した電話番号を使用します。これらの仕組みによってひとつのモバイルウォレットアプリから複数銀行口座を管理し様々な決済が可能になって利便性がぐんと上がっています。民間のウォレットアプリだけではなくNPCIが作った「BHIM」というアプリもあります。またアプリだけでなく、ネット接続不要でフィーチャーフォンなど電話からの決済ができる「*99#」というサービスもNPCIから出ています。
日本でもPayPayのようなQR決済が使えるお店は増えていますし、タクシーや自販機など交通系ICで決済できるものも増えてきているように感じます。しかし日本のいわゆる街の定食屋さんなど、小さな個人経営のお店はまだまだそういったキャッシュレス決済を導入しているところばかりではないと思います。一方インドでは街中の屋台やキラナショップ(水やスナック菓子が買える小さなお店)でも上記のキャッシュレス決済が導入されているところが多く、浸透具合に驚きます。インド最大手と言われるPaytmは2016年時点で85万の小売店で導入されておりPaytm上の取引の65%がそうした実店舗での取引というデータもあります。また、そういった小売店や配車アプリのドライバーからすると、即時送金によりすぐ手元にお金が入るので、ガソリンや商品の調達がしやすくなり、スムーズにビジネス継続可能という利点もあるようです。民間企業の技術開発と政府による各キャッシュレス決済の統一的な土台作りによって、消費者にとっても小売店の店主やドライバーなどサービス提供側にとっても利便性の高いシステム作りが可能になったことが、インドでのキャッシュレス決済拡大の勝因と言えるでしょう。日本もこれからますますキャッシュレス決済を進めるにあたり、インドから参考にできることがあるかもしれませんね。
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■ インド日系企業関連ニュース
2019年9月に発表されたインドにおける日系企業に関する主なニュースは、
【9月5日】インドで「日本酒の夕べ」 10蔵元PR、300人参加
【9月17日】ムンバイ市、大雨・洪水対策で日本の首都圏外郭放水路を参考に
【9月24日】インド南部に医療物流拠点 日本企業が来春、医薬品など輸出
その他9月のインド日系企業関連ニュースは、→こちらをクリックしてご覧になってください!
上記以外にも、多数ニュース記事を紹介しております。
■ 業界情報
~ブロックチェーン・仮想通貨市場~
[市場動向]
世界のブロックチェーンへの投資額は約20億米ドルに対し、インドは530万米ドル程度と、その市場規模は小さいものの、官民における普及は拡大しつつあり今後の伸びが期待される 。一方の仮想通貨については政府が仮想通貨に対する正式な見解を出していないこともあり、正式な統計調査などは行われていないようである。
[現地トレンド]
2019年に入り、商業都市ムンバイを州都とするマハラシュトラ州政府、地場大手自動車メーカーのタタ・モーターズなどがブロックチェーン導入を発表。金融業界だけでなく、他業界にも普及が拡大している。仮想通貨を保有するインド人は500万人超、その資産額は数百億ルピーに上るといい、既に中国のバイナンスコインが進出、韓国ビッサムも進出を検討中だ。
詳細情報はこちらのコラムをどうぞ!
■ インド展示会/イベント情報
1)IREE2019-13thInternational Railway Equipment Exhibition
第13回目となる鉄道機器の国際展示会。2年に1回の開催で、ドイツや台湾など海外企業も多く出展する。インド鉄道網の58%は無電化であり、各企業が商機を狙う。
開催日時: 2019年10月22日(火)~24日(木)
場所: Aerocity Aerocity, New Delhi (デリー)
主催: CII
URL: http://www.ireeindia.com
2) MatDispens
化学・ゴム・プラスチック産業の国際見本市。メーカーの他にもエレクトロニクス、風力、EV、包装といった業界から研究者、エンジニアたちが集う。
開催日時: 2019年11月14日(木)~11月16日(土)
場所: Bombay Exhibition Center(ムンバイ)
主催: Focused Event Management
URL: https://www.fe-india.com/mat-dispens/