
政府系団体 IBEF が発表したレポートによると、2025年10月時点でインドで稼働中のデータセンター容量は 1.4GW、建設中が 1.4GW、さらに約 5GW が計画段階にあり、急速にデータセンター需要が高まっていることがうかがえます。現在進行中の建設案件が完了すれば 2027 年までに容量は約 2 倍となり、計画中のものも含めると 2030 年までに約 5 倍に達することが見込まれます。
経済成長やAI活用の進展、さらに企業によるクラウド導入の拡大などを背景に、データセンターへの需要は急速に高まっています。中央政府も「Data Center Policy 2020」をはじめとする各種政策や補助金制度を通じて、新たなデータセンターの整備を積極的に後押ししています。さらに州政府レベルでも投資誘致のためのデータセンター政策が独自で策定されています。
2025年10月、米国のIT大手グーグルはインド南部アンドラ・プラデシュ州の港湾都市ビシャカパトナムにGW級のAIデータセンターを含めた人工知能(AI)ハブを建設する計画を発表しました。また、リライアンス・インダストリーズは、2025年11月、同州に1GWのデータセンターを建設すると発表しています。同社は200億~300億ドルを投資し、グジャラート州ジャムナガルに最大容量となる3GW級のデータセンターを建設する計画も進めています。
日本企業もインドのデータセンター事業への注力が見られます。NTTはインド最大規模のデータセンター事業者であり、国内に約20拠点・合計230MW超のIT負荷容量を有していますが、新たにハイデラバードに約18億3,898万円を投じて400MWクラスのデータセンターの建設を発表しました。また、商船三井グループのダイビルもインドへのデータセンター事業への参入を発表しました。
近年、データセンターでは冷却システムに使用する大量の水とエネルギー消費が課題となっており、特にエネルギー消費量の急速な拡大と水不足が深刻化するインドでは地域住民への影響の他、データセンター新設の阻害要因にもなりかねない点が懸念されています。この問題に対応するため、データセンターを運営する各社は再生可能エネルギー企業との契約を通じて、消費電力の削減と持続可能なデータセンター運営を目指しています。また、NTTグローバルデータセンターはムンバイのデータセンターへ、LIC(液浸冷却)や DCLC(直接接触液冷却)といった高効率な冷却技術を導入しています。
インドのデータセンター需要に伴い生じる課題への挑戦も、インド進出のひとつの手段と言えます。このような様々なインドの可能性や課題を探索し、インド進出・展開のヒントを探すお手伝いもインフォブリッジでは行っています。