▼1. 2025年ディワリ商戦が過去最高を記録 ― GST改革で中間層の購買力が拡大
インド最大の祝祭「ディワリ(光の祭典)」は、年間で最も消費が活発化する経済イベントです。2025年のディワリ商戦は、約12〜14兆ルピー(約20兆6,400億〜24兆800億円)の消費支出を記録し、過去最高を更新する見込みとなりました。
この急成長の背景には、GST2.0による大幅な税率引き下げがあります。生活必需品から嗜好品まで価格が手頃になり、中間層の購買力が高まったことが需要を押し上げました。自動車、家電、デジタル機器といった高額商品で顕著な伸びが見られ、消費者の60%がディワリで支出を増やす予定と回答。47%が高価格帯な商品を購入する予定と答えており、高価格帯へのシフトが明確です。
eコマース市場も大きく成長しています。eコマースプラットフォームの流通総額は9月のナヴラトリ期間第1週だけで6,070億ルピー(約1兆435億円)の流通取引総額を記録し、前年比29%増となりました。祭礼シーズン全体では1兆2,000億ルピー(約2億630億円)に達する見込みです。BlinkitやZeptoといったクイックコマース(10〜20分配送)が急成長し、伝統的な菓子「ミタイ」を即時配送するなど、デジタルと伝統の融合が進んでいます。
旅行市場では、ドーハ、バンコク、ドバイといった国際旅行先への予約が大幅増加。日本も人気で、2025年1月から5月の5ヶ月間で14万2千人以上のインド人旅行者が訪日し、前年比約40%の成長を記録しました。富裕層・中間層が祭りを「世界規模のバケーション」に変える購買力を持つに至ったことは、市場成熟の明確な指標です。
▼2. 日系マルチ・スズキが前年比100%増の快挙 ― 40年の現地化戦略が結実
Business Standardの報道によると、2025年9月のナヴラトリ期間中、マルチ・スズキは販売が前年比100%増という驚異的な成長を達成しました。納車台数は20万台に達する見込みで、前年の8万5千台から大幅に拡大しています。マヒンドラ&マヒンドラが60%増、ヒュンダイもSUVが好調な中、マルチ・スズキの成長率は業界全体を大きく上回りました。
この成功は、GST改革によるコスト低下が自動車へのアップグレードを促したことが要因です。しかし、それだけではありません。スズキは1980年代からインド政府と合弁事業を立ち上げ、40年以上にわたり現地化を徹底してきました。インド独自のニーズに合わせた製品開発と長期的視点での投資が、今日の圧倒的な市場地位につながっています。
家電・デジタル分野でも高成長が続いています。ハイアールは祭礼期の売上が最大85%増、65インチテレビは1日300〜350台が売れる人気ぶりでした。リライアンス・リテールが20〜25%増、ビジャイ・セールスが20%超の増収、ゴドレジ・アプライアンスも力強い二桁成長を達成しています。
▼3. キッチン市場も高付加価値化ー機能性から暮らしの演出にシフト
高価格帯商材への需要拡大は、キッチン業界にも起こっているようです。IKEAなどの欧州系ブランドがこれらをにらんだ活動を始めています。
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